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地銀について

4月1日、10月の合併を控えた西日本銀行と福岡シティ銀行が合同入行式を開いた。式には良好の融和を内外に印象付ける狙いがあった。新銀行の規模は九州地銀最大手の福岡銀行に匹敵する。業務純益をみると合併二行の単純合計は約224億円と福岡銀を上回る。
 課題は新銀行が両行の長所を生かした新たなビジネスモデルを確立できるかだ。組織・店舗網の再編や人事異動が今後本格化する中で、両行が主導権争いに明け暮れるようであれば、合併効果は大きくそがれる。両行の合併は九州の金融再編を刺激しているようだ。金融激戦区。福岡県では大牟田信用金庫と柳川信用金庫も11月に合併。信用組合でも福岡興業、東福岡、福岡南の三信組が11月をめどに合併する。
2004年 4月30日 「日本経済新聞」より

地銀の合併は、2005年のペイオフ解禁を前に今後も加速すると考えられる。私自身、来年某都銀に入行予定であり、地元である九州の地銀の再編はとても興味を引く事項である。
日本の銀行は「オーバーバンキング」と言われているように、預金量も世界一だが、銀行の数も非常に多い。しかし、これは日本経済にとって良い結果を生まない。銀行のビジネスはサービス産業であるがゆえに、真似されやすい。他行で新たなサービスを打ち出せば、それを追随する動きがすぐに出てくるためだ。よってコアとなる「リスクマネジメント」が銀行の勝負の鍵であり、小さくても独自のサービスを生かした銀行も、ある程度の規模を持っていないとしっかりした信用調査ができない。
一昔前は、バランスシートと、土地・建物などの担保のみで融資判断をしていたが、最近の日本の銀行は「キャッシュフロー」と「事業の成長性」を判断して融資している。つまり、バランスシート等の過去の成績ではなく、企業の未来の成績を判断して融資しているのである。未来のリスクを判断するためには、高度な金融システムと膨大な情報量が必要である。顧客データを含め、取引企業などの銀行に蓄積されたデータが銀行の財産そのものだ。付き合いが古いからとか、知り合いだからなどの、いわゆる「コネ」融資は間違いなく減少するだろう。コネのみで資金を集める企業に未来は無く、そういう企業に融資をする銀行は破綻してしまうのは間違いない。ベンチャー企業が技術を担保に融資をもとめたり、今流行の債権の流動化、もしくは特別目的会社を作ってのプロジェクトファイナンスなど、「未来」の事業性を判断して融資する手法が主流になるだろう。これは、ただでさえパイがすくない地方において、銀行が競合し合うのは危険であり、行き着く先は共倒れになってしまうという事を暗示する。
現在では、一つの県に何行もの銀行がひしめき合い、たがいに無理な利子で争っている。このような状況では、銀行そのものの財務体質を悪化させ、地方企業に良い結果を生まない。よって、私は一つの県に一行どころか九州に一行、四国に一行など、ブロック単位での再編が進むと考えている。ブロック単位での再編は、やがては「道州制」への布石にもなるだろう。そうすれば、メガバンクとの住み分けも可能だろうと思う。
日本の間接金融の割合は、外国に比べ異常に高い。これは、「投資」になれていない国民性によるものが大きいと思うが、やがて直接金融にシフトしていくのは間違いない。これは銀行業務の「融資」という枠の縮小を意味する。また、郵政民営化により300兆を超える預金量を誇り、日本の隅々までに支店を持つ民間企業が出来れば、地銀の強みであるリテール業務をとられてしまうだろう。このように銀行そのもののマーケットが縮小する不安定要素が多い今、地銀は大きな変化が必要であり、このような産業に就職する人間は私みたいに度胸のある人間しか入るべきではないだろう。
上述の西日本銀行と福岡シティ銀行は、福岡銀行と規模的には変わらないが、財務体質は福岡銀行に遠く及ばず、合併してからが正念場である。企業合併は企業倫理の相違や営業手法の相違などで、上手く機能するためにはかなりの努力が必要であるが、これを乗り越えなければ未来はない。また金融庁は「足利銀行」の例でもわかるように、メガバンクだけではなく、地銀にその矛先を向けようとしている。これは2005年のペイオフ完全解禁に向け、銀行の再編がより速度を増すことを望んでいることに他ならない。私は、未来に金融業界に身を置く者として、生き残れる銀行とはどんな銀行かという事を考え、これからの再編を注視していきたいと考えている。

これも大学のレポートで書いたものです。銀行についても、今後、きちんと体系づけて考えていこうと思うのでよろしくお願いします!!
by nobuhitodayo | 2004-06-23 05:25 | 時事問題
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